きもちのいい主人公!それに尽きる『仮縫』有吉佐和子

仮縫 (集英社文庫)

昭和女子の魅力

やっぱり 有吉佐和子上手だなぁ〜

『蜜蜂と遠雷』がボリュームがあり読み応えがあったので
ちょっと短編ばかり読んでおりました。

昭和女子好きなわたしとしては
芝木好子全集も取り揃え
またじっくりと古き良き時代に浸ろうかしらと思える一品でした。

前回の有吉佐和子はこちら↓

昭和初期→戦争→戦後 今 ますます面白くなってきた NHK連続ドラマ小説「とと姉ちゃん」もそうだけど おひさま カーネーション 梅ちゃん先生 ごちそうさ

正直でいること

本書の一番の魅力は何と言っても

主人公「隆子」の生き様。

華やかな一方で裏でドロドロとしたものが渦巻く
オートクチュール『パフファン』で繰り広げられる
女たちの愛憎ドラマのなかで

正直で気持ちの良い主人公の性格が
期待を裏切らない。

美人で仕事もできて野心もあるから
嫌味になりがちなのに
有吉佐和子の人間観察とでも言おうか
読者に最後まで共感を切らさずに
読み切らせる力量がすごい。

ちょっとした下心や心の迷いなども
描かれていて
完璧じゃないところが総じて完璧なの。

 

最後 ハッピーエンドじゃないのに
主人公の若さとバイタリティーが
卑怯で汚い大人に打ち勝つ予感を匂わせて
終わらせるところがまたニクい。

 

周りの人間も、嫌な奴ばっかりなのに
でもちょっとずつ魅力や
少なくとも反面教師としての存在意義はあったりと

ちょっとずつアクセントになっててこれまたいい。

 

 

ストレートな野心や欲望について

 

この時代の小説が好きなのなんでかなぁ〜

って考えてみると、

 

生きる原動力ともなるし
生きづらさにもつながる

「野心」や「欲望」ってものが

きちんとストレートに描かれてるところなのかなって思うのです。

 

もちろん 当時だって
地位、名声より大切なお金で買えないもの
ってテーマのお話ってあるけど

今って、そういう物が語られること自体が
美徳や高尚な感じになっていて

逆に実際は持っている「野心」や「欲望」ってものが
汚れた物のように扱われたり
隠されたりしてる気がする。

 

本来の自分らしさ とか
言う時も、こういうちょっとマイナス?な汚い部分も
含めての本来の自分じゃないと
なんか嘘くさいよね。

 

さらに言うと、今はこういうところも含めて
受け止めちゃうってサラッと言うけど
そんな簡単なもんじゃなくない?

 

コントロールできないから難しいんであって
だから知ったような顔して
白々しくしてるより

不器用だけど必死な感じってのが
昭和の時代にあったんだろうなって
感じるのが好きなのです。

自分も気取っちゃってるけど
実際はもっと人間臭くて
無様でもいいんだよ、って言ってあげたい

40歳迷える子羊に届けたい一冊。

 

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